小児がんに対する放射線や抗がん剤治療の晩期合併症に不妊症がある。精子凍結保存ができない性未成熟な男性がん患児の妊孕性の温存法は確立されていない。がん治療前に精巣組織を凍結保存し、必要時に解凍して自身に移植する方法が考えられるが、混入したがんの再発の危険がある。そこで、凍結した精巣細胞または組織をマウスに移植して、精子が得られれば安全である。しかし、ヒト精巣組織や精子のもとである精原細胞をマウスに移植しても精子形成は進行しない。そこで、本研究では、マウスの精細管を空にした精巣内にヒト精巣細胞を移植することで、マウス精巣の一部をヒト精巣細胞に置換し、ヒト精巣を再構築させ、ヒト精子形成を実現させる。
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