研究課題/領域番号 |
20K22754
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
粟生 智香 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 創薬デザイン研究センター, 特任研究員 (90880865)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 好中球由来小胞 / 生体イメージング |
研究実績の概要 |
まず血液からの好中球由来小胞の分離技術の確立を行った。その結果、好中球由来小胞は遠心分離、フィルトレーション、フローサイトメトリーを用いたcell sortingにより回収できることが分かった。続いて、in vitroにおける好中球由来小胞の産生方法の確立を行い、in vitroの系で得られた好中球由来小胞が全身のどこに分布するか、神経内分泌系に対しどのような機能を持っているのかを現在調べている。機能に関しては、投与後の血漿中のカテコラミンを測定すべく、現在HPLCの系の立ち上げを行っている。さらに小胞の病態モデルでの生理的意義を今後検討するため、肺炎の系の立ち上げを行った。マウス肺炎モデルの肺に集積した好中球の数及び小胞の数の経時変化を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の1つとして、好中球由来小胞の標的を同定することを挙げていたが、静脈投与した好中球由来小胞がいくつかの臓器に集積することを示唆する結果が得られている。今後、他の臓器には分布していないのか、そして具体的にどの細胞が好中球由来小胞を取り込んでいるのかを明らかにする必要がある。機能の検討については、同様の系で神経内分泌系に対する機能の検討を行っている。今後は病態モデルに対する機能の検討も行う必要がある。また、好中球由来小胞に含まれる分子の解析については、前段階として病態モデルから好中球由来小胞を回収する技術を確立した。病態の時期によっても好中球由来小胞の機能は異なることが推測され、どの時期の小胞に着目していくか今後決定する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究課題としては大きく2つあり、①好中球由来小胞の標的細胞の同定②好中球由来小胞の機能の検討である。①については、発光イメージング、MRIなどマクロなイメージング系を用いて調べる。分布している臓器では、小胞がどの細胞に取り込まれているかを免疫染色やフローサイトメトリーにてべる。また、固定したサンプルでは小胞が取り込まれるのか、接着しているのか分からないので生体イメージングによって標的細胞と小胞とがどのように相互作用しているのかを調べる。②については、in vitroで生産した好中球由来小胞を投与して疾患モデルの病態への作用を検討するとともに、実際に疾患モデルから回収した小胞をマウスに投与して機能を検討する。疾患モデル由来の小胞は病期によっても数や大きさ、機能が異なることが想定されるため、病期ごとに分けて小胞を回収し、その機能を検討する。
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