研究課題/領域番号 |
20K22755
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研究機関 | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
研究代表者 |
鎌田 啓佑 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 医員 (80885666)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 迅速発育性抗酸菌 / M. abscessus / rifabutin |
研究実績の概要 |
代表者は日本で臨床検体より分離された迅速発育性抗酸菌の疫学的特徴と地域差に関して筆頭著者として報告した。(Sci Rep . 2021;11(1):4960.)この報告では、検体種別によって分離される菌種に差異が生じることや、気候条件が分離される菌種に影響を与える可能性が示された。また 迅速発育性抗酸菌509株を対象とした薬剤感受性試験結果に関する原著論文も現在、under riviseの状態となっている。この報告は国内の迅速発育性抗酸菌を対象とした薬剤感受性試験結果としては2021年5月時点で最も規模の大きいものであり、米国Clinical Laboratory Standards InstituteがMIC(minimum inhibitory concentration)のbreakpointを設定していない薬剤(rifabutinも含む)に関しても評価を行なっている。また、迅速発育性抗酸菌の一種であるM. fortuitumのニューキノロン系抗菌薬に対する耐性機序を示した症例報告を共著者として行った。(BMC Infect Dis . 2020;20(1):866.) この報告は、Quinolone Resistance Determining Regionの変異がM. fortuitumでも薬剤耐性に関与していることを示したものである。 迅速発育性抗酸菌の代表的菌種であるM. abscessus group に対して有効な内服抗菌薬は非常に少なく、治療の上で大きな問題となっている。本研究では治療薬としてのrifabutin有用性を評価することを目的としており、まずは対象となるM. abscessus groupの菌株収集を継続しているが現在約350株程度で当初想定していたよりも進捗としてはやや遅れている。すでに収集された菌株に関してはRifampicin Resistance Determining Region (RRDR)領域のPCR及びサンガー法によるシークエンス解析を開始しており今後、最小発育阻止濃度の低い株(2mg/L以下)とそれ以外の株での差異に関して検証し成果発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染のパンデミックが研究体制に与えた影響が大きい。代表者は社会的要請に応えるために新型コロナウイルス感染症関連の研究にも従事し、筆頭著者もしくは責任著者として以下の報告を行った。 Comparison of SARS-CoV-2 detection in nasopharyngeal swab and saliva. (J Infect . 2020;81(2):e145-e147.) Rapidly progressive organizing pneumonia associated with COVID-19. (Respir Med Case Rep . 2020;31:101295.) Effect of varying storage conditions on diagnostic test outcomes of SARS-CoV-2. (J Infect . 2021;S0163-4453(21)00159-6.) 新型コロナウイルス感染症診療における呼吸器内科医師の活動実態に関するアンケート調査結果. (日呼吸誌,2020; 9(4): 233-238)
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今後の研究の推進方策 |
収集したM. abscessus group菌株についてRifampicin Resistance Determining Resion (RRDR)領域のPCR及びサンガー法によるシークエンス解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度も継続しているRifampicin Resistance Determining Regionのシークエンス解析に用いる。
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