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2021 年度 実施状況報告書

STAT1機能獲得型変異を有する患者での二次性生着不全の病態解明及び治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K22780
研究機関広島大学

研究代表者

玉浦 萌  広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (60876762)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2023-03-31
キーワードSTAT1機能獲得型変異 / 造血幹細胞移植 / 二次性生着不全
研究実績の概要

STAT1機能獲得型(STAT1-GOF)変異による原発性免疫不全症は、皮膚粘膜局所の反復性カンジダ感染を特徴とする遺伝性疾患である。IFN-γ、IFN-α/β刺激により誘導されるSTAT1のリン酸化亢進と、それに伴って生じる種々の遺伝子群の転写活性化や、IL-17産生不全が病態として想定されている。重篤な感染症や自己免疫疾患を合併する重症例に対し、根治療法として造血幹細胞移植が行われるが、二次性生着不全を高率に発症し、移植成績は不良である。
申請者は本症患者の好発GOF変異(R274Q)をノックインしたGOF-Stat1R274Qマウスを樹立し、本疾患の病態解明に有用であることを証明すると同時に、RNA-seqによる遺伝子発現解析にて、定常下CD4陽性細胞におけるIFN-γ誘導遺伝子群の活性化を示した。本疾患患者においてもSTAT1-GOF変異に起因するIFN-γシグナルの亢進が生着不全に関与するとの仮説を立て、申請者らが新規に樹立したGOF-Stat1R274Qマウスを用いて骨髄移植実験を行い、本症患者で造血幹細胞移植時に高率に認める二次性生着不全の発症分子基盤の解明とその治療法開発を行うことを着想した。
骨髄生着不全におけるIFN-γシグナルの役割を明らかにするため、GOF-Stat1R274Qマウス(Ly5.2)に加え、IFN-γ不応性のIFN-γR1ノックアウトマウス(Ly5.2)、野生型マウス(Ly5.1)を利用し移植実験を行うことを当初予定していた。IFN-γR1 KOマウスの入手に時間を要したため、まずGOF-Stat1R274Qマウスをレシピエントとし、野生型マウスへの骨髄細胞の移植実験を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

ノックインマウスの特性、手技的な問題などにより、実験系構築の途上にある。

今後の研究の推進方策

GOF-Stat1R274Qマウス(Ly5.2)に加え、IFN-γ不応性のIFN-γR1 KOマウス(Ly5.2)、野生型マウス(Ly5.1)を利用した、競合的骨髄再構築アッセイの構築を行う。
近年、JAK阻害薬の一つであるRuxolitinibをSTAT1-GOF変異を持つ患者に対して造血幹細胞移植前に使用し、生着が得られた症例が報告されている。患者ではIFN-γシグナルに関連する遺伝子の亢進がみられていたが、Ruxolitinib投与後に一部正常化し、造血幹細胞移植後に正常化がみられたと報告されている。このことは、本症患者でSTAT1-GOF変異に起因するIFN-γシグナルの亢進が生着不全に関与するという仮説を裏付ける。移植前後でのGOF-Stat1R274Qマウス及び野生型マウスのRNA-seq解析を行い、遺伝子発現の面から、本症での生着不全発症に対するIFN-γシグナル亢進の関与を検証する。

次年度使用額が生じた理由

当初の予定よりも、ノックインマウスを用いた骨髄再構築アッセイの実験系の確立が遅れているため、実験計画の見直しが必要となり、次年度使用額が生じた。次年度では、骨髄再構築アッセイを樹立し、移植前後でのGOF-Stat1R274Qマウス及び野生型マウスのRNA-seq解析を行うことを予定している。

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公開日: 2022-12-28  

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