研究課題
本研究の目的は、時計遺伝子E4BP4によるマクロファージの炎症制御機構を解明し、炎症性疾患の治療開発に繋げることである。活性化されたマクロファージには炎症惹起性に働くM1マクロファージと、抗炎症性に働くM2マクロファージに大別され、M1/M2比は炎症治癒工程で厳密に制御されている。しかしながら自己免疫疾患などではさまざまな要因でM1優位となり、結果として過剰な炎症によって正常組織へのダメージが蓄積し、患者の予後やQOLが悪化する。我々はこれまでの研究からM2への分極を強力に誘導する”Railroad Switcher”として出力系時計遺伝子E4BP4を同定した。本研究ではマクロファージ特異的E4BP4強発現マウスによる炎症性腸疾患モデルやE4BP4ノックアウト培養マクロファージを用いて、E4BP4によるマクロファージの分極メカニズムを網羅的に解明し、そのメカニズムに基づき治療へと結びつける研究を行う。
2: おおむね順調に進展している
マクロファージ特異的E4BP4強発現マウスでのDSS誘導性腸炎モデルの作製と表現型解析はほぼ終了し、興味深いデータが出つつある。現在、E4BP4 ノックアウトマクロファージ培養細胞を用いた網羅的解析を行っている。
E4BP4 ノックアウトマクロファージ培養細胞を用いた網羅的解析を終了後、大腸粘膜固有層のCD45陽性細胞のシングルセル解析を予定している。
本年度行った遺伝子解析の一部を令和3年度に変更したため、試薬等の購入費に未使用額が生じた。この未使用額については令和3年度のマクロファージの遺伝子発現解析に用いる試薬の購入費と合わせて使用する。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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