我々は膵特異的に変異型Krasを発現しTGFβ受容体をノックアウトした膵臓癌マウスモデル(PKFマウス)を用いて腫瘍内神経に対するTGFβシグナルの影響について解析した。PKFマウスの膵腫瘍では交感神経の増加が見られたが、癌細胞における神経栄養因子の発現はp53変異型の膵癌細胞とは異なっておりTGFβシグナル経路による影響と考えられた。一方PKFマウスにアドレナリンβ2受容体阻害薬を投与したところ明らかな治療効果は認められなかったことから、PKFマウスの膵臓癌はp53変異型膵臓癌と比較してアドレナリンβ2シグナル阻害に対する耐性が高いと考えられたが、その機序は今後の検討課題であると考えられた。
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