近年、様々な悪性腫瘍に対して免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor; ICI)の適応が拡大されているが、臨床上の問題点として奏効する患者の予測が依然として困難であることが挙げられる。遺伝子変異量や腫瘍浸潤リンパ球プロファイル、あるいは血球・血清バイオマーカー等様々な手法による奏効率予測が試みられているものの、高精度で簡便な予測法、あるいはその情報に基づいて奏効率を人為的に向上させる治療法は未開発である。 研究代表者は最近、非小細胞性肺がんの間質に存在するがん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblasts; CAF)の新規マーカーとしてロイシンリッチリピートを有するGPIアンカー型膜分子Meflinを同定し、Meflin陽性CAFの存在量がICIの奏効率と極めて高い相関を示すことを見出し、令和3年度に論文を発表した。 本研究の目的は、(1)CAFにおけるMeflin発現の増強がICIの効果の上昇に結びつくことをマウスモデルで示し、次に(2)Meflin陽性CAFを薬剤で増加させることで高いICI奏効率を得られる可能性について臨床応用も視野に入れて検証することである。 目的(1)に関しては既に前年度に結果を得られており、上述のデータと併せて論文を発表した。目的(2)に関しては、Meflinの発現を上昇させる低分子化合物Aが効果を増強することを昨年度見出したが、現在もさまざまな細胞株で効果を検証している。
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