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2020 年度 実施状況報告書

コヒーシン遺伝子変異を有する白血病の病態解明と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K22809
研究機関京都大学

研究代表者

越智 陽太郎  京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40883707)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワードコヒーシン / 遺伝子変異 / エピゲノム
研究実績の概要

急性骨髄性白血病は予後不良の造血器腫瘍で、侵襲の強い化学療法や造血幹細胞移植以外に根治的な治療がない。高齢者にも実施可能な、有効かつ安全な新規治療の開発が喫緊の課題である。近年のゲノム解析では、急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群などの骨髄系腫瘍において、約10-20%がコヒーシン複合体の遺伝子変異を有することが報告されている。コヒーシン遺伝子変異が白血病を引き起こす分子機序の詳細は依然不明な点が多いが、最近、申請者らは、白血病におけるコヒーシン遺伝子変異が、染色体三次元構造の破綻や広範な転写異常をもたらすことで白血病の発症・進展を誘導することを報告した(Ochi et al., Cancer Discovery 2020)。そこで本研究では、これまで特異的治療薬のないコヒーシン遺伝子変異を標的とした新規治療薬の候補創出と開発を目指し、エピゲノム・転写装置を標的とする既存の阻害剤の有効性を検証するほか、CRISPRライブラリスクリーニングを応用したコヒーシン変異細胞に特異的な脆弱性を網羅的に探索する。
まず、ゲノム編集を応用し、コヒーシン欠失白血病細胞株を複数樹立した。このコヒーシン変異モデル白血病細胞株を利用し、既存の候補薬剤をin vitroでアッセイした。また、白血病患者検体を免疫不全マウスに移植し、コヒーシン遺伝子変異を有するPDX(患者腫瘍組織移植モデル)を作成した。さらに、CRISPRライブラリスクリーニングをコヒーシン欠失細胞株に応用するための実験系を構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、コヒーシン遺伝子変異と薬剤感受性の相関を評価するため、ゲノム編集によるコヒーシン変異モデル細胞株の樹立や、コヒーシン遺伝子変異を有するPDXモデルの樹立が前提条件となる。初年度の時点で、最低条件となる両者の準備を順調に行うことができた。また、in vitroで実際に複数の薬剤感受性の評価を開始することができた。また、CRISPRライブラリスクリーニングを行う実験系の構築に既に成功しており、最終年度までに一定の成果を得られる見込みがたったことから、本研究はこれまでおおむね順調に進展していると評価される。

今後の研究の推進方策

最終年度も引き続き、コヒーシン変異をモデルした細胞株を利用し、既存の候補薬剤をin vitroでアッセイする。さらに、同アッセイで有望視された薬剤については、PDXモデルを用いたin vivoでの薬効試験を行う。また、これまでに実験系を確立したCRISPRライブラリスクリーニングについては、コヒーシン欠失の有無による遺伝的脆弱性の網羅的な評価を実施し、標的可能因子の探索を行う。これらの実験で有効性の確認された薬剤については、薬効機序の機能的解析を追加で実施することで、コヒーシン遺伝子変異による白血病形成の分子メカニズムについても考察を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Chromatin-Spliceosome Mutations in Acute Myeloid Leukemia2021

    • 著者名/発表者名
      Ochi Yotaro、Ogawa Seishi
    • 雑誌名

      Cancers

      巻: 13 ページ: 1232~1232

    • DOI

      10.3390/cancers13061232

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] Medical Science Digest 2021年 2月号2021

    • 著者名/発表者名
      越智陽太郎
    • 総ページ数
      53
    • 出版者
      ニュー・サイエンス社

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公開日: 2021-12-27  

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