研究課題/領域番号 |
20K22822
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
本郷 周 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (10626675)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 去勢抵抗性前立腺癌 / 抗癌剤耐性 / 次世代シーケンサー / 細胞極性 |
研究実績の概要 |
本邦における男性がんの罹患率は、2015年に前立腺癌が第1位となったと予測されている。940年代にHugginsは前立腺癌患者の精巣を摘出し、アンドロゲンを低下させることにより前立腺癌の進行が抑制されることを発見して以来、ホルモン療法は前立腺癌治療の中心的役割を担っている。その後LHRH アゴニストとアンチアンドロゲン剤が開発され、2剤併用によるCombined androgen blockade (CAB)療法が広く行われているが、前立腺癌は数年の内に耐性を獲得し去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)となる。去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対する有効な治療は少なく、新規抗癌剤カバジタキセル等も近年使用され始めているが、その生命予後延長効果は数か月程度である。DNA損傷応答関連遺伝子は種々の癌で発がんならびに難治性との関連を認め、PARP阻害剤が前立腺癌の新規治療薬として注目されているが、欧米における実臨床では既に耐性化が問題となっている。がん細胞の微小管ネットワーク・細胞極性のリモデリングは、発がんおよびがんの浸潤転移に関わると考えられてきたが、近年、抗がん剤耐性機構にも寄与する可能性が示唆されている。しかしながら、前立腺がんの去勢抵抗性や抗がん剤耐性との関連は未解明である。抗がん剤耐性前立腺がん細胞株において微小管・細胞極性のリモデリングを認めることに着目し、微小管ネットワーク・細胞極性調節機構をターゲットとした治療戦略を追求することを目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で計画より遅れているが、2020年度はカバジタキセル耐性モデル細胞株に対するスクリーニング薬の抗腫瘍効果を検討した。バイオインフォマティクスにより同定した微小管ネットワークのリモデリング・細胞極性標的薬KWH01-06をカバジタキセル耐性細胞株に投与し、細胞増殖の変化を解析した結果、KWH-05は有意な抗腫瘍効果を認めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はKWS-05をカバジタキセル耐性前立腺癌モデルマウスに投与し、in vivoでの抗腫瘍効果を検討するとともに、各種細胞株にCBZおよびKWS-05を投与し、微小管ネットワーク・細胞極性の変化を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の本務先と研究の実施施設は異なるが、本務先・研究実施施設双方のCOVID-19蔓延防止のため研究遂行ができない期間があり、研究の進捗が計画より遅れた。今年度はKWS-05をカバジタキセル耐性前立腺癌モデルマウスに投与し、in vivoでの抗腫瘍効果を検討するとともに、各種細胞株にCBZおよびKWS-05を投与し、微小管ネットワーク・細胞極性の変化を解析する。
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