研究実績の概要 |
去勢抵抗性前立腺癌:Castration Resistant Prostate Cancer; CRPCに対して、本邦においてドセタキセルによる化学療法が広く行われてきた。また、近年ではエンザルタミド、アビラテロン、カバジタキセル(CBZ)等の新規治療薬も近年使用され始めているが、その生命予後改善効果はいずれも数か月程度である。申請者は当施設で確立したバイオインフォマティクスによる独自の薬剤スクリーニング手法(Kosaka T et al, Cancer Sci. 2013)を応用し、DOC耐性CRPC細胞株C4-2AT6およびCBZ耐性CRPC細胞株DU145CR, PC3CRのマイクロアレイデータを用いて、in silicoにて化合物スクリーニング(Connectivity map analysis)を行った。その結果、数種の薬剤(KWH01-06)において抗癌剤耐性前立腺癌の遺伝子プロファイルを、抗癌剤感受性のプロファイルへ再プログラム化する作用を持つとの解析結果を得た。候補薬の中でも、KWH-06は、CBZ耐性癌の微小管ネットワーク・細胞極性関連シグナル伝達経路の抑制を通じて抗腫瘍効果を発揮しており、CBZ耐性克服薬として有望と考えられた。
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