研究課題
本研究では胃癌における細胞間接着分子、特にコネキシン26(Cx26)に注目し検討を行っている。現在までの研究成果として、胃癌症例において、本来細胞膜でギャップ結合を形成するCx26は細胞質に染色され、癌化に伴い局在の変化を認めた。また腸型・混合型胃癌において、Cx26発現症例では有意に予後良好に対し、びまん型胃癌ではこの差を認めなかった。EMT誘導、がん幹細胞性に関連することが報告されているWnt/β-catenin経路とCx26の関係に着目し諸検討を行うこととし以下の研究を遂行した。・細胞質のCx26とβ-cateninの関係を検討In situ Proximity Ligation Assay(PLA)で検討を行ったところ、細胞質Cx26とβ-cateninの結合所見を認めた。またMKN7、MKN74、MKN45を使用し共免疫沈降(Co-IP)を施行したところ、Co-IPでも細胞質Cx26とβ-cateninの結合所見を認めた。細胞質Cx26はβ-cateninと結合することでβ-cateninの核内移行を抑制している可能性が示された。胃癌症例でβ-cateninの免疫染色を追加検討したところ、腸型・混合型胃癌において、Cx26低発現と核内β-catenin高発現は統計学的有意差を認め、臨床検体においても同様の結果が得られた。・上記詳細検討のため、MKN7、MKN74、MKN45、GCIYを使用しCx26強制発現細胞株を樹立し、いずれの細胞株においてもCx26高発現はWST-assayにて増殖能の低下を認め、核分画のβ-catenin発現は低発現となった(Western blotting)。・MKN74を仕様しCage解析を施行し、Cx26過剰発現群ではWnt/β-catenin経路の抑制を示した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Annals of Gastroenterological Surgery
巻: 00 ページ: 1-10
10.1002/ags3.12552