大腸癌においてBMPシグナルが放射線耐性に与える影響を確認するため、BMPシグナル阻害剤であるLDN193189を用いて、BMPシグナル阻害により大腸癌細胞株に対する放射線感受性が上昇するかどうかについて検討した。そのために以下の実験を行った。 1.BMP阻害剤の濃度検定:BMP阻害剤であるLDN193189の至適濃度を標的遺伝子であるID1の発現を確認することで検定し、大腸癌細胞株においてLDN193189は0.3μMで最も毒性が少なく、ID1の発現を抑えることを確認した。 2.大腸癌細胞株における放射線感受性:DLD-1、HT29での放射線照射量と毒性の関係を確認し、4Gy以上で細胞形態が変化してくることを確認した。 3.BMP阻害剤と放射線の相乗効果の検討:DLD-1、HT29にてLDN193189 0.3μMで放射線照射4Gy以下の照射で、最も相乗効果が現れるところを検討した結果、1Gyにおいて、DLD-1で0Gyでは細胞数の減少は認めないが、1Gy照射下でLDN193189 0.3μMを投与するとやや細胞数が減少することが分かった。しかし、その差は微量であった。HT29では、ほとんど放射線とLDN193189による相乗効果は認めなかった。
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