1.大腸癌細胞株を用いた放射線感受性に対するBMPシグナルの機能解析 DLD-1とHT29を用いて、in vitroにおいて放射線照射とBMP阻害剤であるLDN193189(以下LDN)を併用した際の細胞数の変化について検討した。まずDLD-1、HT29において放射線線量に耐容量について調べた。4Gyを超えると細胞形態に変化が起き、細胞死が誘導されてくることが分かった。細胞死を与えない線量下で、BMP阻害剤により細胞死が誘導される条件を検討した結果、DLD-1細胞において、放射線非照射群では、LDN投与でも変化は認めないものの、1Gyの放射線投与下では、わずかにLDN投与にて細胞数の減少が認められた。しかし、その差はわずかであったため、現在細胞培養の血清含有量を減弱させる、化学療法併用下で行うなどの条件検討を行っている。
2.放射線抵抗性獲得に対するBMPシグナルの機能解析 無血清下でDLD-1細胞にLDNを投与したところ、細胞数が減弱すると共に、apoptosis誘導タンパクである、Bimのタンパクレベルでの発現が更新することが分かった。このBimの更新はHT29細胞でも認められた。ただし、mRNAレベルではBimの発現亢進は認められなかった。Bimは、種々の癌細胞においても放射線感受性に関わる重要なapoptosis制御因子であり、現在放射線感受性とBimの発現について、臨床検体を用いた免疫染色にて検討している。またBMPシグナルによりBimは転写後調節を受けていると考えられ、現在Bimのタンパクレベルでの発現亢進のメカニズムについても解析中である。
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