膵癌はKRAS、TP53、CDKN2A、SMAD4がドライバー遺伝子と考えられている。過去に我々は大腸癌原発巣と転移巣のゲノム解析にて肝転移巣で有意にコピー数の増加(ERBB2、FGFR1)を認める症例を同定した。今回、hCGβの遺伝子に着目し、分子病理学的検討を施行した。膵癌のhCGβの発現は約70%に認められ、hCGβの発現は予後不良因子であった。またhCGβをノックダウンした膵癌細胞株の浸潤能、遊走能は有意に低下しており、Slug、Vimentin、α-SMAの発現低下が認められ、EMTへの関与が疑われた。膵癌においてhCGβの発現が新たな分子標的マーカーとなる可能性が示唆された。
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