研究課題/領域番号 |
20K22853
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
大橋 拓馬 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (50888005)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
キーワード | 膵癌 / PBK/TOPK / p53 |
研究実績の概要 |
①膵癌におけるPBK/TOPK発現と予後及び悪性度の関連の評価について、膵癌臨床検体標本を用いPBK/TOPK特異抗体の免疫染色を行う。現在膵癌臨床検体の作製と患者コホートを作成中である。 ②膵癌のPBK/TOPK分子機構の解明(TP53との関連、癌抑制型microRNA等の制御分子機構の解明)について、胃癌において既に我々はPBK/TOPKが p53正常の場合に癌細胞の増殖、遊走・浸潤の全てに強く関連し、p53変異の場合は癌細胞の浸潤・遊走のみに関連することを明らかにしPBK/TOPK遺伝子発現が2つの異なる経路で悪性度に寄与する可能性を示しこれについて報告している。(Ohashi T, Komatsu S et al. Br J Cancer 2016) 膵癌検体においてTP53とのステータスとPBK/TOPKの関連を解析し同様の機序があるかどうかについてを検証中である。また癌抑制型microRNA等の制御分子機構についてPBK/TOPKとターゲットとするmiR-216bが、PBK/TOPKの発現抑制を介して肺癌の増殖抑制を誘導するという報告(Chai Y et al. Exp Ther Med. 2018) がある。膵癌検体についてmiR-216bを含めたmicroRNAとPBK/TOPKの関連について検証していく。現在miR-216bに加えて候補となるmicroRNAを検索中である。 ③PBK/TOPK特異的阻害剤の有用性の検討について、PBK/TOPK特異的阻害剤が開発されたのを受け細胞株・動物モデルで抗腫瘍効果、安全性などを検証する。現在膵癌細胞株での検証を行っており、今後マウスの膵癌モデルを作成しPBK/TOPK特異的阻害剤の投与での腫瘍動態の検証を行う実験を計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵癌検体標本の作製について、膵癌を含めた膵悪性腫瘍はもとの腫瘍Volumeが少ないことに加えて、日常臨床における膵癌の診断確定のため多種の免疫染色が必要であり、そのため研究のための検体標本作製が困難な症例があり患者コホート作成に難渋している。COVID19感染拡大に対する緊急事態宣言、それに準ずる対応のため試薬の入手始めとした研究活動に遅れが生じている。また診療体制の縮小により臨床検体の収集も当初の見込みよりも遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
膵癌におけるPBK/TOPK発現と予後及び悪性度の関連を評価するため膵癌臨床検体標本の作製、患者コホートを作成する。膵癌検体についてmiR-216bを含めたmicroRNAとPBK/TOPKの関連について検証していく。PBK/TOPK遺伝子を制御する強力な癌抑制型microRNA候補群の網羅的探索とPBK/TOPKを標的としたmicroRNAによる抗がん核酸医薬について解析を行う。マウスの膵癌モデルを作成しPBK/TOPK特異的阻害剤の投与での腫瘍動態の検証を行う実験を計画している。
|