①膵癌におけるPBK/TOPK発現と予後及び悪性度の関連を評価する目的で、膵癌臨床検体標本を用いPBK/TOPK特異抗体の免疫染色を行う予定であったが、膵癌を含めた膵悪性腫瘍はもとの腫瘍Volumeが少ないことに加えて、日常臨床における膵癌の診断確定のため多種の免疫染色が必要であり、そのため研究のための検体標本作製が困難であった。またCOVID19感染拡大に対する緊急事態宣言、それに準ずる対応のため試薬の入手始めとした研究活動の継続が困難であった。また診療体制の縮小により臨床検体の収集も困難であった。 ②膵癌のPBK/TOPK分子機構の解明について、既に我々は胃癌とPBK/TOPKについてp53正常の場合に癌細胞の増殖/遊走/浸潤に関連し、p53変異の場合は浸潤/遊走のみに関連することを明らかにしPBK/TOPK遺伝子発現が2つの異なる経路で悪性度に寄与する可能性を報告しており(Ohashi T et al. Br J Cancer 2016)、膵癌検体においてTP53ステータスとPBK/TOPKの関連を解析し同様の機序があるかどうかについてを検証したが、明らかな関連は同定できなかった。 また癌抑制型microRNA等の制御分子機構についてPBK/TOPKをターゲットとするmiR-216bが、PBK/TOPKの発現抑制を介して肺癌の増殖抑制を誘導するという報告(Chai Y et al. Exp Ther Med 2018) があり、膵癌検体についてmiR-216bを含めたmicroRNAとPBK/TOPKの関連について検証したが候補となるmicroRNAは同定できなかった。 ③PBK/TOPK特異的阻害剤の有用性について、細胞株・動物モデルで抗腫瘍効果、安全性を検証する予定であったがCOVID19感染拡大に対する緊急事態宣言、それに準ずる対応のため研究の進行が困難であった。
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