本研究の目的は、膵癌患者および正常コントロール患者の膵癌並びに消化管の細菌叢・真菌叢の変化を網羅的に解析し、膵癌腫瘍部の細菌叢・真菌叢との相違を 比較することである。最終的には、膵癌早期発見につながる新たなバイオマーカーの発見やプロバイオティクスや抗生剤投与による膵癌の予防の可能性を探索す ることを目的としている。 (1) 次世代シークエンサーでの網羅的細菌叢・真菌叢解析を行うため、ヒト検体(唾液、膵液、膵組織、便)からの細菌および真菌のDNAを抽出を行っている。細菌および真菌のDNA抽出のために酵素による前処置を行った上でDNA抽出を行い、次世代シークエンサーでの解析を行うために必要な量のDNAを回収する方法を確立した。 (2) 膵臓組織での腫瘍部と正常部の細菌叢および真菌叢を次世代シークエンサーで解析した結果、膵癌では正常組織と比較し、細菌叢および真菌叢に相違があることを確認した。 (3) 膵癌患者検体、およびコントロール患者検体を用いた、DNA抽出結果から次世代シークエンサーでの解析に十分量のDNAを抽出できており、解析に向けたライブラリーを作成、シークエンス結果の解析、論文作成中である。 膵癌患者および正常コントロール患者の膵癌並びに消化管の細菌叢・真菌叢の変化を網羅的に解析することで、膵癌早期発見につながる新たなバイオマーカーの発見やプロバイオティクスや抗生剤投与による膵癌の予防の可能性を検討する方針としている。現在、論文作成中であり投稿を目指している。
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