研究実績の概要 |
本研究は、「食道前がん病変における代謝微小環境」を検討し、腫瘍発生の初期における微小環境の影響を明らかにすることを目標としている。これを証明するため、酸素飽和度イメージング内視鏡を用いて早期食道癌から検体を採取し、病理学的な検討(細胞増殖・血管数・免疫状態)および同一病変に対するメタボローム解析することを計画している。研究の最終的な目標は、「腫瘍発生における微小環境の影響」を調べることであり、これらの情報に加え、遺伝子解析や発現解析などの他のオミックス解析を加えられるものとするが、本スタートアップ研究では、食道がんの初期悪性化における微小環境の影響を俯瞰するための基盤構築を行うことを目標としている。 現在のところ、本研究は国立がんセンター倫理審査委員会の承認を受け、内視鏡サンプルの収集を開始している。20年度は腫瘍4サンプルおよび正常4サンプルを収集し、これらのサンプルに関しては、国立がん研究センター鶴岡連携研究拠点にメタボローム解析を依頼し、現在のところCE-MSの陽イオン、陰イオンの解析については結果が出ており、腫瘍において平均5倍以上増加している代謝産物としてCMP,GMP,AMP,N-Acetylaspartate,IMPなどが同定された。 現在のところ、症例数も少なく、その意義に関しての解析については今後の課題であるが、少なくとも検体採取~解析に関する、現在行っている研究のプラットフォームは、順調に動くことが確認された。 21年度は、さらに症例数を増やし、同時に採取されている病理標本に関しての免疫組織学的検討を加えて解析する予定である。
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