研究課題
今回の目的は、表在型の食道がんの代謝環境を解明するための基盤として、早期食道がんの内視鏡検体に対しメタボローム解析を行う予定としていた。しかし、コロナウイルスの影響により検体採取が思ったように進まず、昨年収集した結果以上の検体は解析できなかった。そこで、既存の病理標本(早期食道がんに対するESD材料)を用いて低酸素状態について調べた。具体的には、2015年~2019年にESDが行われた早期食道がん109病変に対し以下の検討を行い、深達度と比較を行った。①HIF1α(hypoxia inducible factor 1 subunit alpha )、Glut1(glucose transporter 1)、CA9(carbonic anhydrase Ⅸ)などの低酸素マーカーの発現を免疫染色で評価。②CD31、αSMAの二重染色を行い測定した血管密度。③富士フィルムと共同開発された低酸素内視鏡を用いて測定された、StO2。結果、免疫染色による検索においては、すべての低酸素マーカーは、非腫瘍部の扁平上皮と比較して、T1bの腫瘍のおいて有意に発現が高くなっていた。特に、CA9とGLUT1に関しては、Tis-T1aにおいて既に発現上昇が認められた。また、血管密度も非腫瘍部の扁平上皮と比較してTis-T1aの腫瘍において既に有意に上昇していた。低酸素内視鏡にて測定したStO2との比較においては、非腫瘍部の扁平上皮と比較し、T1bの腫瘍において、有意に低酸素になっていた。これらの結果から、食道扁平上皮癌は早期からすでに低酸素状態で血管密度も上昇しており、特にT1bの腫瘍ではその傾向が顕著である事が示された。
3: やや遅れている
今回の目的は、表在型の食道がんの代謝環境を解明するための基盤として、早期食道がんの内視鏡検体に対しメタボローム解析を行う予定としていた。しかし、コロナウイルスの影響により検体採取が思ったように進まず、昨年行った結果以上の検体は収集できなかった。そこで、既存の病理標本(早期食道がんに対するESD材料)を用いて低酸素状態について調べた。具体的には、2015年~2019年にESDが行われた早期食道がん109病変に対し以下の検討を行い、深達度と比較を行った。①HIF1α(hypoxia inducible factor 1 subunit alpha )、Glut1(glucose transporter 1)、CA9(carbonic anhydrase Ⅸ)などの低酸素マーカーの発現を免疫染色で評価。②CD31、αSMAの二重染色を行い測定した血管密度。③富士フィルムと共同開発された低酸素内視鏡を用いて測定された、低酸素状態。結果、すべての低酸素マーカーは、非腫瘍部の扁平上皮と比較して、T1bの腫瘍のおいて有意に発現が高くなっていた。また、血管密度も有意に上昇していた。低酸素内視鏡にて測定したStO2との比較においては、非腫瘍部の扁平上皮と比較し、T1bの腫瘍において、有意に低酸素になっていた。これらの結果から、食道扁平上皮癌は早期からすでに低酸素状態で血管密度も上昇しており、特にT1bの腫瘍ではその傾向が顕著である事が示された。病理組織での評価により、一定の成果が得られたものの、本来の目的であるメタボローム解析のための検体採取が進まず、”やや遅れている”との評価にせざるを得ない。
今回、既存の病理標本(早期食道がんに対するESD材料)を用いて低酸素状態について調べた。具体的には、2015年~2019年にESDが行われた早期食道がん109病変に対し以下の検討を行い、深達度と比較を行った。①HIF1α(hypoxia inducible factor 1 subunit alpha )、Glut1(glucose transporter 1)、CA9(carbonic anhydrase Ⅸ)などの低酸素マーカーの発現を免疫染色で評価。②CD31、αSMAの二重染色を行い測定した血管密度。③富士フィルムと共同開発された低酸素内視鏡を用いて測定された、StO2。結果、すべての低酸素マーカーは、非腫瘍部の扁平上皮と比較して、T1bの腫瘍のおいて有意に発現が高くなっていた。また、血管密度も有意に上昇していた。低酸素内視鏡にて測定したStO2との比較においては、非腫瘍部の扁平上皮と比較し、T1bの腫瘍において、有意に低酸素になっていた。これらの結果から、食道扁平上皮癌は早期からすでに低酸素状態で血管密度も上昇しており、特にT1bの腫瘍ではその傾向が顕著である事が示された。この結果を踏まえて、実際に免疫染色、低酸素内視鏡の結果低酸素となった症例が、実際にどのような代謝環境となっているか、メタボローム解析を用いて検討する事が次のステップである。
コロナの影響により、メタボローム解析のために計上していたお金を使用しなかった。その代わりに、病理組織を用いた検討のため抗体を購入した。本研究の内容で論文投稿を行うにあたり、論文作製、英文校正、論文投稿がこの年度中に間に合わず翌年に論文作製のための費用(ソフトウェア等)、英文校正費、論文投稿料の繰り越しを行った。
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