膵癌における血中遊離DNAの研究は、膵癌の主要な遺伝子異常であるKRAS変異の検出が主に試みられてきた。血中遊離DNAにおけるKRAS変異の同定は膵癌の予後を予測し得ることが報告されている。一方で、KRAS変異を標的とした薬物治療は未だ開発されておらず、薬物療法の指標とはなり得なかった。我々は、410遺伝子を対象として網羅的に遺伝子異常を解析した。これまでと同様に血中のDNA異常の解析は予後予測が可能であることに加えて、低頻度ではあるが薬物治療の指標となる遺伝子異常が検出されることを明らかとした。今回の知見がリキッドバイオプシーを指標とした膵癌の個別化医療の実現に貢献し得るものと考える。
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