研究実績の概要 |
ResolvinE1, E2, E3について、マウス動物実験モデル(in vivo) および樹状細胞実験(in vitro)試料を用いて検討を進めている。ハウスダストマイト点鼻によりマウス好酸球性気道炎症モデルを作成し、resoltion phaseにあたる時期にResolvin E1,E2,E3 2μgをそれぞれ腹腔内投与するとマウスの気道炎症を抑制し、メサコリンに対する気道抵抗を改善することがわかった。本実験においてはE3が細胞数・好酸球数ともに最も低い傾向にあったが、群間の統計学的優位差は認めなかった。レゾルビンE2についてははじめて好酸球性気道炎症モデルにおける効果を確認した。また、喘息モデルとして確立されているOVA吸入によるマウス気管支喘息モデルを作成し、同様に肺胞洗浄液について検討した結果、同様にResolvinE3投与による細胞数低下を認め、モデルに依存せず好酸球性気道炎症に抑制効果があると考えられた。in vitro解析では、ResolvinE1, E2, E3はマウス大腿骨骨髄由来樹状細胞からIL-4、IL-33共刺激により得られるIL-23 産生を抑制すること、E3がE1,E2よりIL-23を有意に抑制することを確認した。一方で、Resolvinは多くの二重結合を含み構造的不安定性を有するため、創薬の対象となり得るかを探索するため、より安定した構造をもつRvE3シクロプロパン誘導体(α-CP-RvE3,β-CP-RvE3)を作成した。これら誘導体はマクロファージからのRvE3と同様にTGF-βの産生をRvE3と同様に抑制することがわかった。RvE3誘導体はRvE3と同様に抗炎症性作用を持つ可能性が示唆された。
|