本研究では、異常プロトロンビンのアンチトロンビン抵抗性 (ATR) に加え、トロンボモジュリン抵抗性 (TMR)による血栓傾向に着目した。申請者らが同定した複合ヘテロ接合体症例は出血も血栓も呈さない無症候性であり、そのメカニズムの解明を試みた。M380TおよびR431Hは凝固活性の低下 (出血傾向)、アンチトロンビン抵抗性 (ATR) は軽度~なし (血栓傾向軽度) と発端者は出血症状を呈しうる結果であり、TMRまたはプロテインCとの結合障害など、ATR以外の血栓傾向を有している可能性が示唆された。これらを解明することで新たな血栓性素因の発見や新規治療薬の開発につながる可能性がある。
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