慢性腎臓病は進行すると末期腎不全に至ることから、早期の重症化予測が課題である。本研究では、腎予後予測の新規バイオマーカーとして、申請者の所属研究室で測定系を樹立した、抗エリスロポエチン(EPO)受容体抗体に着目し、慢性腎臓病の代表疾患であるIgA腎症において臨床病理学的意義を検討した。IgA腎症の患者血清で血中抗EPO受容体抗体を測定し、抗体陽性例を確認した。抗EPO受容体抗体陽性例では、血清IgA/C3比が高値で、貧血や腎機能と関連を認めず、病理では活動性を示す半月体形成や癒着を多く認めた。抗体と腎代替療法の開始や死亡との関連は認めなかった。
|