研究課題
研究活動スタート支援
糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病に起因する肥満の病態には、慢性炎症とインスリン抵抗性が基盤にある。本研究では、細胞膜や細胞内小胞の融合、レセプター蛋白のエンドサイトーシスと再利用に関与するとの報告のあるMyoferlinが、マクロファージにおいてはリソソームの開口放出を介した炎症を惹起することで、一方、脂肪細胞においては脂肪細胞分化や肥大を介した糖代謝障害を惹起させることで、脂肪組織の慢性炎症・老化を促進させる可能性があることを明らかにした。
動脈硬化 老化
これまでMyoferlinは、筋細胞や各種癌細胞を中心として、細胞膜融合や細胞内小胞輸送、膜受容体のリサイクリング等に関連する病態生理機能が明らかにされていた。一方、生活習慣病の病態への関与の報告はなかった。本研究では、Myoferlinが代謝性疾患及びそれに付随する個体老化へも関与することを明らかにした。このようにMyoferlinの様々な加齢性疾患の病態の基盤に関わる多様な機能を有し、更に個体老化や寿命にも関与する可能性があることを示せたことに学術的意義がある。