急性肝不全は肝移植以外に根本的治療の存在しない予後不良の疾患である。治療法開発には病態解明が必須であるが不明な点が多い。急性肝不全は種々の原因から発症する症候群であり、複数の病型、発症機序の存在が示唆されている。そのため、その病態解明にあたっては病型に応じたアプローチと解釈が必要である。我々の今回の検討から急性肝不全のうち組織低酸素が関与する急性肝障害モデルにおいても、肝細胞の脱分化マーカーの上昇が確認され、同病型にも肝細胞の可塑性、多様性が関与することが示唆された。今後更なる検討が必要であるが未だ治療法の確立されていない急性肝不全の新規治療開発のための有用な知見が得られたと考えている。
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