研究実績の概要 |
UTE 4D MRAは、短いエコー時間(Ultrashort TE:UTE)による金属アーチファクト軽減、Arterial spin labeling(ASL)法による血流方向に左右されない、複数時 相撮影が可能な新たなMRA撮像法である。本研究では、UTE 4D MRAを用いて非侵襲的な動脈瘤の新たな経過観察法の確立を目指す。令和4年度は以下の研究を行った。 (1)動脈瘤に関して、血栓化の有無評価が重要となるフローダイバーターステント留置術をはじめ、ステント併用コイル塞栓術、開頭クリッピング術後における治 療前後の比較、治療後の経過観察に関してUTE 4D MRAデータを収集した。動脈瘤だけでなく、その他にも複数時相撮影が有用と考えられる動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、もやもや病などの脳血管疾患に対してUTE 4D MRAデータを収集を行った。UTE 4D MRAの有用性の高い症例に関しては学会発表および、共著として論文発表を行った。(フローダイバーターステントについてAkatsu T,Yutaka Ikenouchi et al. Progress in CI.44(1); 47-52, 2022) (2)前方循環系、後方循環系の血流動態の観察を検討した。健常ボランティアから収集したデータから、前方循環系においては後方循環系よりも200msec早く血流シグナルが到達し、Contrast-to-noise ratioは前方循環系のほうが後方循環系よりも1.5倍高い結果となった。第50回日本磁気共鳴学会で共同演者として発表した。 (3)人工知能を用いて撮像時間短縮・高解像化ができないかをさらに検討した。UTE 4D MRAから時間情報を深層学習モデルに学習させ、多時相血流情報の推定を行った。共著として論文投稿中である。
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