研究実績の概要 |
小児期に好発する微小変化型ネフローゼ症候群とミトコンドリア障害との関連性を明らかにするために、実験を実施した。 2021年度は、「ミトコンドリア障害の経時的進行と蛋白尿増加の関連性の検討」に関して、6週齢の雄のwistarラットに、puromycin aminonucleosideを皮下投与し、微小変化型ネフローゼ症候群モデルラットを作製した。puromycin aminonucleoside投与後より、蛋白尿はほぼ直線的に増加し、day5より有意に蛋白尿が増加することを確認した。したがって、day4の検体を蛋白尿増加前 (P4)、day7の検体を蛋白尿軽度増加期 (P7)、day10の検体をネフローゼ期 (P10)と設定した。一日蛋白尿量 (median, interquartile range [mg/day])は、P4 (18.05, 10.27-23.17)、P7 (73.38, 38.50-121.22)、P10 (279.15, 181.03-366.34)となり、経時的に有意に増加していることを確認した。透過型電子顕微鏡を用いて、それぞれの群の糸球体ポドサイトのミトコンドリアを観察し、障害スコアを評価した。 また、DNA障害評価キットを用いたreal-time PCR定量の測定法の技術面の確認を行っており、完了すれば糸球体ポドサイトのDNAを使用して、ミトコンドリア障害を評価する予定である。糸球体ポドサイト中のDNAの抽出はすでに完了している。
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