研究課題/領域番号 |
20K22887
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
本山 美久仁 兵庫医科大学, 医学部, 博士研究員 (20873615)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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キーワード | グルテン不耐症 / グルテン感受性 / 抗グリアジンIgG抗体 / グルテン関連疾患 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
2023年度はうつ病とグルテン感受性の関連についての解析を行った。兵庫医科大学病院精神科神経科外来を受診し、研究参加への同意を得たうつ病患者24名と年齢・性別を一致させた健常対象群61名を対象とした。血液を採取し、ELISA法にて抗グリアジンIgG抗体を測定するとともに、精神症状、身体症状を評価した。抗グリアジンIgG抗体陽性を免疫学的グルテン感受性群、陰性を非免疫学的グルテン感受性群として2群間で比較を行った。うつ病患者では37.5%が免疫学的グルテン感受性を有しており、健常対象群の10.5%より有意に高かった。うつ病群における免疫学的グルテン感受性群は非免疫学的グルテン感受性群に比べ、CGI-Sが高く、役割社会的QOLが低かった。免疫学的グルテン感受性のあるうつ病患者は、より仕事や家事など普段の生活に支障をきたしていることが示されたが、治療抵抗性の割合や抑うつ症状、不安症状、下痢や腹痛などの身体症状に差は認めず、免疫学的グルテン感受性はうつ症状への影響より、うつ病の発症に関連している可能性が示唆された。 これらの結果は第119回日本精神神経学会学術総会で報告を行った。今後論文化を予定している。 また、グルテン不耐症の正確な診断基準を確立するために、抗グリアジンIgG抗体だけでなく複数のバイオマーカーを組み合わせて使用することが望ましいと考えられるため、炎症性サイトカインなどの他の客観的指標も調べており、2024年度はこれらの測定や解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大の影響で患者群のリクルートが困難な期間があったため、当初の予定より収集できている症例が少ない。解析については順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は対象症例については引き続き募集を行い症例数を増やしていく。うつ病とグルテン感受性の関連についてはさらに詳細な解析を行い35th CINP World Congressで発表予定である。また、グルテン感受性者の背景因子についての詳細の解析も進めていくとともにグルテンフリー食の有効性についてもさらに検討を行う。症性サイトカインなどの他の客観的指標についての測定や解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度はその以前から続くCOVID-19感染拡大の影響で予定よりも収集できた検体数も少なかったため成果が少なく、抗体キットの購入にかかった費用、旅費などが予定よりも少額であった。2024年度も症例数を増やす予定であり、抗体キットなどの消耗品の費用の分が次年度に繰越になった。また、2024年度も学会発表や論文による成果報告を予定している。
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