研究実績の概要 |
本研究において、臍帯由来細胞(MSC)がミクログリアに及ぼすミトコンドリア制御とアクチンダイナミクスの解明を目的としている。マウス由来ミクログリア初代培養におけるLPS活性化とアクチンダイナミクスにおけるミトコンドリア脱分極を膜電位検出キットにより評価することとした。 結果、LPS刺激によりミクログリアの活性化とアメボイド様変化を伴うアクチンダイナミクスを起こし、これはMSCによりRhoRTPaseであるRac1とcdc42の活性化が起きている結果と考えられた。また、その活性化はPI3K/Akt/Rho GTPase pathwayを介していると考えられた(Cell Death Discovery volume 7, Article number: 46 (2021) )。これを総説としても発表した(Pharmaceutics 2021, 13(8), 1159)。 続けてミクログリアにおけるミトコンドリアの膜電位をキットで検査したところ、膜の脱分極を認めた。UC-MSCの共培養群ではアメボイド様変化は減少し、アクチンダイナミクスを変化させていることが示唆されたが、ミトコンドリアの脱分極の定量評価ではLPS群とMSC共培養群での有意差がみられなかった。従ってMSCの共培養においてはミトコンドリアの脱分極の他、電子伝達系酵素複合体とATPの定量を行う必要があると考えて実験系を進めている。
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