STAT3はATL症例で高率に変異が検出される分子の1つであるが、今回、特に高頻度に見られるD661Y変異を加えた変異型STAT3を発現するプラスミドを作成した。まず、STAT3の変異及びHBZの共発現がSTAT3のプロモーターに与える影響を確認するため、野生型STAT3あるいは変異型STAT3とHBZをHEK293細胞株に強制発現し、STAT3のコンセンサス配列であるsis-inducible element (SIE)を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイを行った。変異型STAT3は野生型STAT3に比べ、SIEプロモーター活性が高いことが分かった。また、HBZはこの変異型STAT3のプロモーター活性を増強することが分かった。一方、HBZはSmad3やp300に結合しTGF-βシグナル経路を活性化することを報告しているが、STAT3はSmad3と結合し、Smad4と競合することでTGF-βシグナル経路を阻害することが知られている。HBZ及び変異型STAT3がTGF-βシグナル経路への影響を確認するため、TPA response elements (TREs)を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイを行ったところ、STAT3は野生型、変異型ともに単独ではTREプロモーター活性に影響を与えなかったが、HBZを加えることでTREプロモーター活性は増強し、その変化はHBZとD661Y変異型STAT3の共存在下で最大となった。
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