研究課題/領域番号 |
20K22906
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
神田 真聡 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40796348)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | マクロファージ / マイクロプロテイン |
研究実績の概要 |
2020年度はMKMP78の強制発現系のためのタグ付・タグ無ベクターの作成と全長RNA発現のためのベクター作成に成功し、それぞれの強制発現によりMKMP78の発現を確認した。まだプレリミナルな結果ではあるが、全長RNA発現のためのベクターからもわずかにではあるが、MKMP78の発現が亢進するという結果が得られた。 MKMP78 mRNAに関してはTHP-1(未分化単球細胞株)とそれから誘導したM0,M1,M2マクロファージでMKMP78の発現量を評価し、マクロファージ分化に従いMKMP78のmRNA発現量が増加することが確認された。また、追加実験として様々なリガンド(IL1β、IFNγ、TRL ligands)を用いて単球活性化刺激を行ったところ、活性化刺激でもMKMP78 mRNAの発現量が増加することが確認された。 しかしながら、タンパクレベルで発現量を確認すると、単球では問題なくMKMP78が検出されるが、mRNAは発現量が増加しているはずのM0、M1マクロファージではMKMP78の発現がほとんど確認されなかった。現在その原因については検討中であるが、MKMP78はN末端に予測分泌シグナルを持っていることから、マクロファージにより分泌促進が起こった可能性や何らかの理由でMKMP78の分解が促進している可能性を考え、追加検討を行っている。 MKMP78の結合分子の同定のための免疫沈降質量分析のためのプロトコールの最適化も開始し、強制発現系を用いた免疫沈降のプロトコールの樹立に成功した。今後は内在性タンパクでのプロトコールの最適化を行っていく。また、MKMP78強制発現株の作成を適宜進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19の流行などにより、他の業務へのエフォートが増大し、当初予定していたよりも研究活動へのエフォートが十分にさけなかっただけでなく、各種試薬などの入荷遅延などもあり(COVID19の影響によりPCR関連のキット、プラスチック製品の入荷遅延が生じた)、想定よりは遅延している。 また、研究の課程により新たな問題点に直面し、その解決に時間を要している。 さらに、M0およびM1マクロファージにおけるRNAとタンパク量の発現との相関が合わない問題の解決に対しての追及に想定以上に時間を要している。一方免疫沈降のプロトコールの樹立は想定していたよりも順調に進捗していると考javascript:onTransientSave();えている。
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今後の研究の推進方策 |
概要で述べた通り、現在mRNAの発現が増加しているはずのM0、M1マクロファージではMKMP78の発現がほとんど確認されなかった。この原因の解明が急務である。 現在その原因については検討中であるが、MKMP78はN末端に予測分泌シグナルを持っていることから、マクロファージにより分泌促進が起こった可能性や何らかの理由でMKMP78の分解が促進している可能性を考え、培養上清中での発現量の検討などの追加検討を行っている。 また、本年度他業務などでで受けた遅延を取り戻すために、本年度は他研究費を利用して研究補助員を増員して、遅延した分の研究を迅速に推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の影響により他業務のエフォートの増大および、試薬等の入荷遅延なども重なり想定よりも進捗に遅延が発生してしまっているため。 本年度は研究支援員を増員して研究を進捗させるため、遅延を取り戻せる予定である。
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