研究実績の概要 |
本研究では我々が独自に発見したヒト腎特徴的マイクロプロテインMKMP78が、どのようなマクロファージのサブセット(M0/M1/M2)でより発現するかを検討し、マクロファージ細胞における細胞内分布の同定と共役分子の同定からMKMP78の分子機能を推定し、そのメカニズムを推定することを目的とした研究である。 まずTHP-1誘導マクロファージを用いてMKMP78の発現量を確認したところ、RT-qPCRでは単球<M0<M1/M2という発現量の違いが確認できたが、MKMP78のタンパク発現はTHP-1よりもM0で亢進していたが、M1/M2ではほとんど確認できなかった(ウエスタンブロッティング・フローサイトメトリ・蛍光免疫染色により評価)。RNAの発現パターンとタンパクの発現パターンとの乖離の原因は明らかにはなっていないが何らかの理由でMKMP78の分解亢進やMKMP78が予測分泌シグナルを有することからM1/M2では分泌が起こっている可能性が予想された。MKMP78の共役分子の探索のため免疫沈降-質量分析を予定していたが、免疫沈降後の純度に問題があり有益な情報が得られにくいと考え、代替案としてprotein interaction screen on peptide matrices (PRISMA)と呼ばる合成ペプチドフラグメントを用いた共役分子の探索法(Dittmar G, et al. iScience 2019)を行うこととした。この方法によりMKMP78はRNAの結合タンパクと多く結合する可能性が示唆された。THP-1マクロファージおける細胞内分布の評価では主に核内(および細胞質)に分布することからその予想される機能と細胞内分布に関連が見出された。
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