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2021 年度 実施状況報告書

グリアコネキシン発現エキソソームによる多発性硬化症の制御と血液バイオマーカー開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K22910
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

Maimaitijiang Guzailiayi  国際医療福祉大学, トランスレーショナルニューロサイエンスセンター, 特任助教 (60887107)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2023-03-31
キーワード神経免疫疾患 / 脱髄疾患 / 多発性硬化症 / グリア / コネキシン / エクソソーム
研究実績の概要

オリゴデンドログリアとアストログリアは、グリアコネキシン(Cx)で細胞間ギャップ結合を形成し、それを通じてのエネルギー源の供給やカリウムイオンのバファリングにより脳の恒常性を維持している。それのみならず、実験的自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis, EAE)において、私たちはグリアCxが脳炎症を制御する重要な役割を担っていることを報告している。多発性硬化症(multiple sclerosis, MS)では、グリア炎症が脱髄炎を悪化させている。私たちはMSの剖検脳標本で、広汎なグリアCxの異常を明らかにしている。グリアから放出されたエクソソームは血液脳関門を通過できるので、本研究ではMSの末梢血のグリア由来エクソソームを解析した。MSでは、再発緩解型の再発期と二次進行型で血液アストログリア由来のグリア線維性蛋白を含有するエクソソームが増加していた。さらにCx43をコードするGJA1は、酸化ストレスなどで低分子量イソフォームの発現が増える。MSの末梢血では低分子量イソフォームのうち、GJA1-29kが著増しGJA-11kが著減していた。一方、野生型マウスEAEでは末梢血で急性期から慢性進行期にかけてGJA1-29kを発現するエクソソームが著増した。アストログリア特異的Cx43 inducible conditional knockoutマウスのEAEでは、それがなくなったことから、GJA1-29kは大部分が脳アストログリア由来と考えた。Cx43低分子量イソフォームは、チャネル機能を失うがRNA/DNA結合部位を保持する。GJA1-29kはマイクロRNAなどを伝搬することで脳炎症の増幅に寄与していると考えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

多発性硬化症で、従来報告がない末梢血でのグリア由来エクソソームの変化を見出した。しかもコネキシン低分子量イソフォームの変化が、多発性硬化症の再発期や二次進行期でみられることを世界で初めて明らかにできたため。

今後の研究の推進方策

大脳皮質アストログリア特異的・時限的にコネキシン43(Cx43)をノックアウトしたマウス(Cx43 icKOマウス)を用いて、実験的自己免疫性脳脊髄炎(Eexperimental autoimmune encephalomyelitis, EAE)を誘導し、野生型マウスのEAEと比較して、末梢血のCx43低分子量イソフォーム含有エクソソームが、どのように変化するかを、末梢血でのグリアエクソソームの解析を通じて明らかにする。また中枢神経の脱髄疾患である視神経脊髄炎でも末梢血のグリアエクソソームの解析を進める。多発性硬化症、視神経脊髄炎で、Cx43低分子量イソフォーム含有エクソソームが、それぞれどのように変化しているかを明らかにする。これにより中枢神経脱髄炎と末梢血のグリア由来のコネキシン低分子量イソフォーム発現エクソソームと疾患との関連を明らかにする。また、末梢血エクソソーム中のマイクロRNA(miR)の次世代シークエンスし、疾患ごとに特異的なmiRがみられるかを解析する。

次年度使用額が生じた理由

抗体などの試薬の納品に遅れが生じたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] A new clustering method identifies multiple sclerosis-specific T cell receptors.2021

    • 著者名/発表者名
      Hayashi F, Isobe N, Glanville J, Matsushita T, Maimaitijiang G, Fukumoto S, Watanabe M, Masaki K, Kira J
    • 雑誌名

      Ann Clin Transl Neurol

      巻: 8(1) ページ: 163-176

    • DOI

      10.1002/acn3.51264

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2022-12-28  

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