偏光感受性(polarization-sensitive; PS)光干渉断層法(optical frequency domain imaging; OFDI)は、OFDIによる構造的観察に加え、組織の偏光特性を測定することでプラーク性状を観察できるイメージング技術である。本研究では冠動脈疾患患者にカテーテル型PS-OFDIを施行し、冠動脈プラークのコラーゲンの偏光特性と3次元構造を明らかにし、プラーク不安定化におけるコラーゲンリモデリング機序の解明を目的としている。 PS-OFDIコンソールは、大阪公立大学医学部附属病院へ設置した。コンソールに接続できるOFDIイメージングカテーテルは、すでに日本国内で冠動脈インターベンションに使用されている承認医療機器である。2023年1月より、OFDIを用いて冠動脈インターベンションを行う患者を対象とし、慢性冠症候群患者(n=6)と急性冠症候群(n=5)患者を登録した。特に合併症なくイメージングを行い、画像取得に成功した。プラークの偏光特性を行うソフトウェアを開発し、プラークの複屈折と偏光度を定量した。プラーク破綻やびらんによる血栓、血管内皮の治癒過程をみていると考えられている層状プラークについて、複屈折の差異を観察した。急性冠症候群患者の責任病変の複屈折は、慢性冠症候群患者の複屈折と比較して低いことから、細胞外マトリックスの性状の差異が示唆された。 今後さらに、症例数を増やし、画像解析を追加していく予定である。また、冠動脈血やプラーク組織の解析を行うことにより、画像所見との比較を行う予定である。
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