今回の研究により、本邦でも成人慢性腎臓病患者の中に小児期に末期腎不全に至ると考えられていたネフロン癆患者が潜在していることが明らかとなった。さらに、遺伝学的にネフロン癆と診断された症例は、腎生検時の年齢が若い傾向があることを明らかにした。また、ネフロン癆の遺伝子変異を認める患者には、組織学的に尿細管の基底膜に厚い二重化が認められることを明らかにした。これらの結果は、本邦において、成人でも原因不明の腎機能障害患者に対してネフロン癆を疑う重要性を明らかにすると同時に、その臨床像は成人におけるネフロン癆の診断の一助となるものであり、今後の慢性腎臓病診療に繋がることが期待される。
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