研究課題
本研究では非特異性多発性小腸潰瘍症(CEAS)の小腸粘膜におけるPG分布や小腸潰瘍発生の誘因となる要因、腸内細菌叢の関与を明らかにすること、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)起因性小腸潰瘍形成における腸内細菌叢の関与とプロバイオティックスの影響を明らかにすることを目的としている。本研究では健常者を対象とし、セレコキシブ(200mg1日2回)およびラベプラゾール(20㎎)に加え、プラセボ(プラセボ群)またはLactobacillus salivarius WB21(WB21群)の投与を行うランダム化比較試験を行い、小腸潰瘍の発生率はプラセボ群よりWB21群で有意に少ないことがわかり、PPI併用下でのNSAIDs投与においてLactobacillus salivarius WB21の追加投与はNSAIDs起因性小腸潰瘍の形成を抑制する可能性が示唆された。今後さらに次世代シーケンサーによる腸内細菌叢の解析を行い、NSAIDs起因性小腸潰瘍形成における腸内細菌叢の関与を明らかにしていく。また、小腸の細菌叢を解析していくにあたって、胃、十二指腸、空腸、回腸、終末回腸、直腸の各部位および便から採取した臨床検体を用いて細菌叢の解析を行い、各部位での細菌叢の違いについて検討した。空腸や回腸は便とは異なるクラスターを形成し、空腸は十二指腸と類似したクラスターを形成するのに対し、回腸は上部消化管と下部消化管の間に幅広いクラスターを形成することがわかった。今後のCEAS患者の小腸の細菌叢解析において採取部位による細菌叢の相違を考慮する必要があり、小腸内視鏡での検体収集が困難であれば十二指腸の細菌叢も検討対象になる可能性も示唆された。今後さらにCEAS患者の小腸粘膜の免疫化学染色やデジタルカウント遺伝子発現解析、腸内細菌叢の解析を行っていく。
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