研究課題
研究活動スタート支援
近年、各種臓器に由来する細胞外マトリックスを利用した臓器再生が試みられており、呼吸器領域における報告も散見される。本研究では、マウスES細胞から肺由来脱細胞化マトリックス(LM)を用いて、肺オルガノイドの分化誘導を試みた。成獣マウス由来LMをシート状に加工したLMSheetを作成し、それを用いてES細胞の三次元培養を行った結果、各種肺細胞および、気道上皮細胞のマーカーの遺伝子発現誘導亢進を認めた。さらに、組織学的解析により、LMSheetでの細胞生着を認め、LMの有効性が実証された。
再生医療
肺は種々の細胞が立体的配置により機能しているが、その立体構成には細胞外マトリックスが主に関与していると考えられている。これまで細胞外マトリックスは専ら足場として利用されてきたが、本研究では、分化誘導因子としての可能性を精査した。マウス由来正常肺を脱細胞化後、シート状に加工したものを用いてES細胞の分化誘導を行ったところ、肺および気道各種細胞への分化誘導を認めた。本研究成果は、肺再生や肺形成における細胞外マトリックスの新たな知見を示し、今後の呼吸器再生医学に大いに貢献し得ると考えられた。