原発性アルドステロン症(PA)は高血圧全体の約10%を占める二次性高血圧症である。PAは血圧を良好にコントロールしていても、本態性高血圧と比較して過剰なアルドステロン作用による心血管疾患のリスクが高いとされる。近年は、手術適応がなく生涯のアルドステロン拮抗薬内服が必要である特発性アルドステロン症(IHA)が増加している。IHAは肥満症との関連が指摘されているが詳細は不明である。本研究ではIHA患者の採血サンプルを用い、血中マイクロRNAに焦点を当て、肥満IHAにおいて特異的に上昇する血中マイクロRNAの網羅的探索を行い、その病的意義について検討することとした。肥満IHA患者と非肥満IHAおよび肥満非IHA、それぞれ4例ずつから血中エクソソームを抽出した。続いて、whole miRNA-seqにてマイクロRNA発現を網羅的に定量解析した。その後、症例数を増やしてqPCRにより確認評価を行った。引き続き、得られたマイクロRNAが制御する遺伝子群についてオンラインデータベースをもとに予測した。網羅的解析により肥満IHAでのみ特徴的な発現を示す血中マイクロRNAを複数検出した。データベース解析では特徴的マイクロRNAはアルドステロン産生に関わる遺伝子群、複数のイオンチャネル発現、またはWntシグナルに関わる遺伝子群を制御しうることがわかった。IHAの病態にmiRが関わっている可能性が指摘された。今後、血中マイクロRNAの由来の検索、およびマイクロRNAが副腎に与える直接的な影響について検討する。
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