研究課題/領域番号 |
20K22937
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桑田 威 京都大学, 医学研究科, 医員 (10879084)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 炎症性腸疾患 / 自己抗体 / インテグリン |
研究実績の概要 |
潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis: UC)は、世界的に増加傾向にある難治性疾患で、病態解明を目指して多くの研究がなされてきたが、確固たる病因は不明である。申請者らは、UC患者において非常に高い感度・特異度を示し、病態と関与する可能性のある抗インテグリンαVβ6自己抗体を発見した((Kuwada et al. Gastroenterology. in press)。本研究では以下の方法により、この抗インテグリンαVβ6自己抗体が病因であるか検証し、これに基づいた疾患特異的診断法の開発および病態解明のためのUCモデルマウスを確立することを目指す。 ①UC患者における自己抗体の検討:予備実験では、感度92%、特異度95%と非常に良好な結果であった。別のコホートで更なる症例の集積を行い、精度の高いものにしていく。現在も症例集積を継続しており、予備実験と同等の感度・特異度を認めている。 ②UC患者臨床像や疾患活動性と自己抗体の相関解析:①で集積した症例において、少数例ではあるが抗インテグリンαVβ6自己抗体と既存の疾患活動性評価の指標との相関を評価し、いずれの症例においても比較的強い相関関係を示した。 ③UC患者より抽出した自己抗体の病原性の証明:数例のUC患者より抽出したIgGをマウスに投与したが、現在までに大腸に明らかな粘膜障害は認められていない。 ④自己抗原の免疫によるUCモデルマウスの確立:インテグリンαVβ6をアジュバントと共にマウスに投与したが、現在までに大腸に明らかな粘膜障害は認められていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例集積は順調に進んでおり、感度・特異度の評価や疾患活動性と自己抗体の相関解析においては良好な結果が得られている。一方でマウスモデルおける検証においては、大腸において明らかな粘膜障害は認められていない。
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今後の研究の推進方策 |
症例集積は引き続き継続していき、多数例における感度・特異度の評価や抗インテグリンαVβ6自己抗体と疾患活動性との相関についての評価を行う。マウスモデルにおいては、当初想定した結果が得られておらず、その原因について検証を行うとともに、大腸粘膜障害が誘導できる方法がないか確認する。具体的には①ヒト大腸とマウス大腸におけるインテグリンαVβ6の発現量やスプライスバリアント等の違いについて確認、②マウスに十分量の抗体を投与するため、UC患者からmonoclonal抗体を樹立、③マウスに免疫を行う条件(マウス種・アジュバントの変更)の検討、などを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスモデルが確立できれば、マウスやインテグリンαVβ6を多量に購入して免疫を行う予定であったが、これまでに大腸の粘膜障害などが認められておらず、当初の計画よりも購入量が少なくなったため、予定よりも使用額が少なくなった。マウスモデルを確立するための条件検討や条件が決定した際に必要な物品購入を行う。
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