研究実績の概要 |
これまでに、GH-IGF-1系を主体とした、ヒト成長障害の原因に関する英文総論の共著者として執筆活動に取り組み、PAPP-A2などのIGF-1の生体利用率を調節する因子についてまとめた。(Hwa V, Fujimoto M, Zhu G, Gao W, Foley C, Kumbaji M, Rosenfeld RG. Rev Endocr Metab Disord. 2021;22(1):43-58.) また、当初の計画で利用する予定であったヒトiPS細胞の培養を開始した。当教室においても安定した継代条件を確立した。既報のTsumakiらの方法(Stem cell reports. 2015;4(3):404-418.)に従って軟骨分化誘導を開始した。iPS細胞コロニーの数が高い条件での分化を実施すると軟骨様細胞塊の形成が良好であるなど、プロトコールの追試実験も終えている。分化誘導効率を高めるため、最適な培養・分化条件の検索に取り組んでいる。また、分化誘導中の複数の段階において、RNA・タンパクの抽出保存を実施し、今後の遺伝子発現実験やタンパク発現解析の準備を進めている。まだ、再現回数が少ないため、今後も同様の実験を繰り返す。次段階では、IGF-1、インスリンといった成長因子の濃度勾配を設けて、軟骨細胞塊の大きさの変化や遺伝子発現の変化等について確認を行う予定である。同様の研究を複数のiPS細胞株で実施し、正常iPS細胞株間での差異についても検討する。 iPS細胞に対して、IGF1R遺伝子変異の導入を行い軟骨の分化誘導におけるIGF-1シグナルの重要性についても研究を実施していく。
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