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2020 年度 実施状況報告書

術後せん妄と血液脳関門の機能障害に関するバイオマーカーの研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K22944
研究機関東京大学

研究代表者

水枝谷 一仁  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90882605)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード術後せん妄 / 血液脳関門 / リン酸化ニューロフィラメント重鎖(pNF-H) / 細胞接着因子 / ケモカイン
研究実績の概要

術後せん妄は周術期に発生する中枢神経系の合併症で最も一般的だが、現在のところ客観的な診断及び評価方法が確立しておらず、その発症機序も不明である。またせん妄は臨床予後や医療経済の面でも大きな問題がある。我々の研究グループは、術後せん妄の評価に軸索損傷バイオマーカーであるリン酸化ニューロフィラメント重鎖(pNF-H)を指標とすることでせん妄患者の中枢神経ダメージを定量化し、それによりせん妄発症と重症化における血液脳関門の破綻機序を報告してきた。
その研究成果を踏まえて、本研究では術後せん妄の発症リスクが高い食道癌手術を受ける患者を対象とし、せん妄発症の有無において過活動型だけでなく低活動型と混合型のせん妄を含むスクリーニングを行い、末梢血液で測定可能な血液脳関門の細胞透過性を規定するケモカインとその発現に関わる炎症性サイトカインを軸索損傷のバイオマーカーであるpNF-Hとともに測定、比較することにより、術後せん妄の予防開発と臨床像との対応付けを明らかにすることを目的としている。
本年度までに、394検体分のケモカイン、炎症性サイトカインであるApo E、P-Selectin、PECAM-1、NSE、MMP-9、PAI-1、IL-6、Leptin、Resistinの計測を終え、71検体分のpNF-Hの計測を追加した。
現在その測定結果をふまえ、術後せん妄とpNF-H、血液脳関門のケモカインとその発現に関わる炎症性サイトカインとの関連性について解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度までに、394検体分のケモカイン、炎症性サイトカインであるApo E、P-Selectin、PECAM-1、NSE、MMP-9、PAI-1、IL-6、Leptin、Resistinの計測を終え、71検体分のpNF-Hの計測を追加した。現在その測定結果が出そろい、術後せん妄とpNF-H、血液脳関門のケモカインとその発現に関わる炎症性サイトカインとの関連性について解析中である。
概ね順調ではあるが、新型コロナウイルスの影響で対象術後患者のICU滞在期間が短縮され、検体採取可能な期間が短くなった時期があるため、連続測定可能な検体が多少少なめとなっている。

今後の研究の推進方策

費用の関係で未だ測定していない検体が残っているため、検査項目を絞りこみ、適性な項目の計測を行い、せん妄の発症や予防に役立つバイオマーカーの検索・同定を行っていくと同時に、せん妄のメカニズムについても明らかにしていきたい。
そして臨床データおよびサイトカイン他の計測項目とその経時的変化の関連解析を行うためWorkstationの購入を検討している。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大による影響で、院内規定により海外や国内の学会への参加が制限され、旅費が生じなかったこと、手術件数の減少により同意取得数が低下したこと、解析結果が遅れ検体数が残ってしまったことが原因と考えられる。
検体数は徐々に増加してきているので、適切な項目に絞って計測を進めていきたい。また新型コロナウイルスワクチンの普及により海外や国内への学会参加が可能となれば、研究成果を発表するために積極的に参加を試みたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 食道癌術後患者における術後せん妄と軸索損傷バイオマーカー(pNF-H)との関連2021

    • 著者名/発表者名
      水枝谷一仁、住谷昌彦、 井上玲央、 緒方徹、 下條信威、内田寛治
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第68回学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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