今回、産科危機的出血患者において、新規に開発した中空糸膜を用いて作製した中空糸膜クリオを投与した患者群のフィブリノゲン値の投与前後における変化率、有害事象の発現率を後ろ向き観察研究より得た従来の方法で作製されたクリオ投与群と比較し、中空糸膜クリオ投与による有効性ならびに安全性を検討することを目的とし、研究を開始した。事前検討では、中空糸膜クリオの網羅的解析を行い、従来の方法で作製したクリオと比較し、中空糸膜クリオが遜色ないことを確認している。 当初の研究計画より、研究対象を、心臓外科症例から周産期出血の妊婦に、研究デザインを前向き非盲検ランダム化比較試験から、非無作為化、非盲検の単群比較研究(対照はヒストリカルコントロール)へと変更した。 本研究を行うにあたり、臨床研究審査委員会に申請し、承認を得た。また、介入を伴う前向きの臨床研究であり、臨床保険の加入とjRCTへの登録を行なった。 フィブリノゲン濃縮製剤が2021年9月6日より保険適応となったこと、夜間の供給ができないことが相まって症例登録はやや遅れ気味であるが、すでに症例登録を開始しており、症例を蓄積している段階である。
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