今後の研究の推進方策 |
(1)好中球を PMA で刺激して得られた上清を超遠心でNETを除去した成分が活性化T細胞のケモタキシスを抑制する実験系で、加熱処理、neutrophil elastase (NE), pan-serineprotease inhibitor(PMSF), ATP, adenosine, ROS阻害薬などの物質を添加し、抑制現象の変化を検討する。また、rho, racなどの運動関連分子の変化をwestern blotにて検討し、その原因物質を同定する。 (2)健常人末梢血好中球をPMAで刺激して得られたNETと同じドナー由来のCD14(+)単球を3~7日間混合培養し、樹状細胞・M1, M2マクロファージへの分化を特異的表面抗原に対するモノクロナル抗体で染色し、flowcytometryで検討する。M1マーカーには、HLA-DR, CD80, CD83, CD86、M2マーカーにはCD163, CD206を用い、CCR2、CCR7などのケモカイン受容体、免疫チェックポイント分子PD-L1、L2も検討に含める。また、培養上清をストックし、マルチプレックス定量抗体アレイを用いて、それぞれの細胞のサイトカイン産生能を明らかにする。さらに、ケモカイン、CCL-2に対するケモタキシス能をダブルチャンバー法にて検討する。 (3)多数の胃癌・大腸癌切除標本におけるNETsの評価を行うとともに、それぞれの臨床病理学的因子、予後との相関性を検討する。また、CD4,CD8, CD68, CD163に対する抗体でも染色し、NETsとT細胞やM2マクロファージの浸潤様式との関連性を明らかにする。 (4) YTN16をPMA刺激でNETsを起こさせた好中球と混合し皮下に接種し、翌日よりDNAse (2000u/mouse)を隔日ごとに腹腔内投与し、腫瘍の成長速度を検討する。
|