研究実績の概要 |
申請者はこれまにで椎間板傷害後に神経成長因子(NGF)の発現が上昇すること、in vitroにおいてTNF-alpha, TGF-betaが椎間板細胞におけるNGFの発現を亢進させることを明らかにしてきた。本年度はNGF産生機構へのマクロファージの関与を検討するために、傷害椎間板におけるマクロファージを分離し、NGFおよびその制御因子の発現を検討した。C57BL/6Jに対し27G針を用いて椎間板傷害モデルを作製した。傷害後7日目にTnfa, Tgfb, Ngfの発現が上昇が認められたため、傷害後7日の椎間板を検討に用いた。0.2%コラゲナーゼで18時間37℃で酵素処理し、有核細胞を得た。抗CD11b抗体と磁気ビーズを用いてCD11b陽性(マクロファージ)分画とCD11b陰性(椎間板細胞)分画に分離した。RNAを抽出後、cDNA増幅試薬を用いて増幅後、両分画におけるマクロファージマーカー(F4/80, Cd11b)、Tgfb, Ngfの発現をreal time PCRを用いて検討した。CD11b陽性分画におけるマクロファージマーカー(F4/80, Cd11b)の発現はCD11b陰性分画に比して有意に高かった。Tnfaの発現はCD11b陽性分画で有意に高かった。Tgfbの発現はCD11b陰性分画で有意に高かった。Ngfの発現に有意な差は認められなかった。本研究結果から、マクロファージは炎症性サイトカイン産生を介したオートクリン、パラクリン作用によりNGFを制御している可能性が示唆された。マクロファージはNGFを介した腰痛機構に重要な役割を果たしているかもしれない。
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