研究実績の概要 |
眼科手術において高倍率観察系は重要であり、これまで眼外からの眼内照明を備えた手術顕微鏡はほとんど存在していない.本研究の目的は眼外から非侵襲で眼内を照明できる機器を開発することである.2020年度までに試作1, 2, 3号機を作製し,光源にはXeランプを使用し眼底を観察することが可能であったが,角膜からの反射により一部観察が困難であった. 2021年度では,角膜反射を軽減するために光ファイバーの種類を変更をした.まずファイバーの開口数に着手した.NA0.2,0.39,0.5を比較したところ0.5が角膜反射を抑えながら照明された.ファイバーの本数に関して1本,2本,4本で実験をしたところ2本でも十分に照らせることを確認した.またファイバー先端に取り付けているミラーの角度に関して30°,35°,45°で実験をしたところ,35°のミラー角度が最も視認性に優れていた.さらにミラー位置について中心から10mmが観察条件が良好であった. 以上のことから本研究で得られた最適な照明の条件はXeランプ光源,ファイバー開口数は0.5,ミラー角度35°,ミラー位置は中心から10mmであり,角膜から照明機器を可及的に近づけることがわかった. 一方でコロナによる物流の停滞により,ファイバーなどの納期が遅れ,試作機の製造に時間を要したため,本来想定していた動物実験を用いて安全性能・毒性検証まで進めることはできなかった.
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