研究実績の概要 |
脳腫瘍の治療に対する遺伝子診断の重要性が増す中、本研究では遺伝子の一塩基多型(SNP)に焦点を当て、脳腫瘍の術中迅速遺伝子診断及び術前の非侵襲的遺伝子診断を目指した。 脳腫瘍には、IDH1 R132H遺伝子変異をはじめ、IDH2, TERT, PIC3CA, EGFR, BRAF, PDGFRA, CTNNB1, H3F3Aなどの遺伝子に変異が見られる。これら遺伝子変異により疾患の診断が可能であり、これらを術中迅速SNPs装置により同定することは、患者の治療、予後に極めて重要である。本研究ではまずIDH2, EGFR, BRAF, H3F3Aらのホットスポット変異に対するQプローブの設計・作成を行った。これらプローブについて、臨床腫瘍検体を用いてi-Densy装置で解析した。具体的には、作成したQプローブを対象DNAに水素結合させ、加熱してある一定の温度なると結合が変性されて発光する。1塩基の変化により変性温度が変化するため、温度差から遺伝子変異が判断可能となった。TERT, PIC3CA, PDGFRA, CTNNB1等遺伝子変異に関しては現在それぞれのホットスポットに対するプローブを作成中である。 また、同定された遺伝子異常の再確認のために、同一腫瘍組織検体を用いて、QIAGENキットによりDNA抽出し、サンガーシークエンス法により適切な結果が得られたことを確認した。 今後の課題は、引き続き各遺伝子に対してプローブの作成を完成させると同時に、作成したQプローブの感度をもっと上げて、患者の尿、髄液中の微量DNAからも遺伝子診断可能にすることである。
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