研究課題/領域番号 |
20K23018
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
峰岸 沙希 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (00882820)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | ラセミ化 / 象牙質 / 年齢推定 / AST / アスパラギン酸 |
研究実績の概要 |
本年度は予備実験として、D-アスパラギン酸(Asp)およびL-Asp、並びに光学異性体を持たないグリシン(Gly)に対し、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ酵素(AST)、α-ケトグルタル酸基質のそれぞれの影響を確認した後、象牙質中Aspに対するASTおよびα-ケトグルタル酸の影響を確認した。 上顎第三大臼歯15本(17~74歳)を用いて従来法に準じてアミノ酸を抽出し、予備的検討を行った。AST(0.35U/mL、 300μL)を加え、異なるpHおよび温度条件で15分間反応させ、各ラセミ化率の変動を確認した。次に、pH7.8・37℃の条件下で、反応時間(0~60分)およびAST量(1~5倍量)を変化させ、またα-ケトグルタル酸(0.62M、300μL)を添加することで、ラセミ化率の変動を調べた。さらに、各年代の歯を用いた従来の検量線から、酵素を反応させた抽出物の年齢の決定を試みた。統計解析はTurkey-Kramer法による多重比較検定を用いた。 予備的検討から、pH7.8・37℃において、ラセミ化率は有意な上昇を示し(p<0.01)、本実験におけるASTの至適条件として妥当であることを確認した。次に、この条件下で種々の検討を試みたところ、2倍量のASTのみを5分間反応させると12歳相当のラセミ化率、30分間反応させると139歳相当のラセミ化率を確認することができた。反応時間および酵素量の調整、並びに基質を加えることで、12~139歳に相当するラセミ化率を得ることが可能であった。歯から抽出したアミノ酸に対し酵素を用いることで、幅広い年代に相当するラセミ化率の試料を作製することができた。本研究について論文作成中である。併せてラセミ化率に影響を与える因子として、失活歯におけるラセミ化率についても確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標準品を用いたデータ採取が不十分であった。
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今後の研究の推進方策 |
標準品での影響を再確認し、論文投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大のため現地での学会参加が困難であった。 ガスクロマトグラフィー、エバポレーターといった機器のメンテナンスおよび備品の購入を予定。
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