研究課題/領域番号 |
20K23018
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
峰岸 沙希 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (00882820)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 年齢推定 / ラセミ化 / 象牙質 / アスパラギン酸 / 失活歯 |
研究実績の概要 |
これまでのデータから,歯から抽出したアスパラギン酸に対しグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ酵素(AST)を用いることで,幅広い年代に相当するラセミ化率の試料を作製することができた。ASTはL-Aspに反応することからラセミ化率の上昇のみを推測されたが,ラセミ化率が低い値も得られたことから,D-Aspにも反応する可能性が示唆された。今後は高い再現性を得られるよう,より詳細な検討を行っていく予定である。 一方で,昨年度より着手した失活歯と生活歯におけるラセミ化率の違いについての詳細を次に示す。試料として(1)上顎第一小臼歯:生活歯16本(19~84歳)・失活歯5本(53~80歳),(2)下顎第二小臼歯:生活歯11本(19~80歳)・失活歯6本(31~80歳),(3)上顎第二大臼歯:生活歯8本(16~85歳)・失活歯7本(23~75歳)を用いた。いずれの歯も,年齢・性別・抜去日は明らかであり,性差及び左右側は考慮せずに使用した。失活歯は,抜髄日及び根管治療期間は不明であり,根管充填済みの歯を指す。手順は従来法に準じて,加水分解,アミノ酸抽出,誘導体化後にガスクロマトグラフィー(Agilent7890B)にて分析した。D/L体のアスパラギン酸におけるラセミ化率を算出後,3歯種における検量線の相関係数の違い,失活歯が検査資料として可能か否か検討した。(1)~(3)において,生活歯のみで作成した検量線の相関係数は,失活歯のみで作成したものと比較しいずれも高い値を示した。さらに,それぞれの歯種において,生活歯及び失活歯における検量線の位置関係を比較すると,失活歯の検量線はいずれも生活歯の検量線に対して上方に位置しており,失活歯のラセミ化率が生活歯のラセミ化率よりも高い値を示す傾向がみられた。本研究についてもまた論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酵素に関する研究において,標準品を用いたデータの採取が不十分であった。
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今後の研究の推進方策 |
標準品を用いることで,酵素による影響を再確認し,論文にまとめ報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により,各種学会が中止・延期になり参加及び発表の制限が生じた。また機械のメンテナンス等により実験データを十分に得ることができなかった。 必要な試薬等を随時購入し,データの採取・集計を行っていく。
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