ラセミ化法による年齢推定は精度が高い方法として知られているが、手技が煩雑であることや検量線作成のために同歯種の幅広い年代の抜去歯収集が必要になることから実務に積極的に応用されていない。我々はこれまで高温加熱によって人工的にラセミ化率を変えられること明らかにしてきたが、より簡便で安全な方法の開発が必要と考えてきた。本研究では、ASTに着目し、酵素量、反応時間および基質量を変えることで、短時間で安全にラセミ化率の上昇および減少を確認できたことは学術的および社会的意義が大きいと考える。また、失活歯の応用を考える上で、生活歯とはラセミ化率が異なることを明らかにできた点も意義あるものと考える。
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