研究課題/領域番号 |
20K23020
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
土谷 洋輔 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (40882072)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
キーワード | 咬合性外傷 / 骨細胞 / 歯根膜細胞 / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
咬合性外傷は細菌存在下において歯周炎を増悪させる修飾因子として広く知られている。しかし、その根拠の多くは1980年以前の動物実験 によるものがほとんどであり、生物学的な検討がなされた報告は乏しく、メカニズムについては不明な点が多い。 本研究では咬合性外傷モデルにおける歯周組織サンプルより、RNAシークエンス解析を行い、咬合性外傷における遺伝子制御を検索し、咬合性外傷における重要な細胞種、遺伝子の解明を明らかにすることを目的とする。 また、歯根膜細胞、骨細胞において伸展培養を行い、メカニカルストレス存在下での動態を評価するとともに、網羅解析によって得られた変 動遺伝子の機能解析を行うことで咬合性外傷のメカニズムの同定を目的とする。 8週齢オスC57BL/6J系統マウスの臼歯部咬合面にコンポジットレジンを築成し、咬合性外傷モデルとする。咬合性外傷のみで骨吸収が生じるか否かを、無菌(germ free)マウスと野生型(WT)マウスを用いて検討している。また、歯周炎存在下における咬合性外傷の影響に関して、 絹糸結紮誘導歯周炎モデルと絹糸結紮誘導歯周炎、咬合性外傷併発モデルを用いた実験系で比較検討する。歯周組織を実験動物用マイクロX線CTにて撮影し、歯槽骨吸収を評価する。 さらに、歯槽骨からRNAを抽出し、RNAseqにて網羅的に解析し、著明な増減を示す遺伝子の抽出を行う予定である。歯周組織へのメカニカルストレスに よる影響を調べるために、伸展培養法にて、マウス骨細胞様細胞株を培養し、変動遺伝子の機能、役割について検討を行なっていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験におけるモデルマウスの作成にあたり、条件決定に難航し、実験の進行に遅れが生じている。今後さらにいくつかの条件について検討を行い、本実験を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は前年度に検討したモデルマウスにて本実験を行い、得られたサンプルをRNAシーケンス解析することで、変動遺伝子の検索を行う。その結果を踏まえin vitroにおける骨細胞様細胞の伸展培養を行い、RNAシーケンスにおける変動遺伝子の役割、機能の解析を行う予定である。さらには機能遺伝子の同定を行うためにCRISPR/Cas9を用いて遺伝子のサイレンシングを行い、機能評価を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
動物実験におけるモデルマウス検討に時間がかかり、2020年度に計画した段階まで至っていないため次年度使用額が発生した。本実験で得られたサンプルのRNAシーケンス解析、in vitroで計画している伸展培養実験及び、分子生物学的な機能評価のために今後研究費を使用する予定である。
|